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私は幸せでありますように 私の悩み・苦しみがなくなりますように 私の願いごとがかなえられますように 私に悟りの光が現れますように 私は幸せでありますように 私の親しい人々が幸せでありますように 私の親しい人々の悩み・苦しみがなくなりますように 私の親しい人々の願いごとがかえられますように 私の親しい人々にも悟りの光が現れますように 私の親しい人々が幸せでありますように 生きとし生けるものが幸せでありますように 生きとし生けるものの悩み・苦しみがなくなりますように 生きとし生けるものの願いごとがかなえられますように 生きとし生けるものにも悟りの光が現れますように 生きとし生けるものが幸せでありますように ※ 私の嫌いな人々も幸せでありますように 私の嫌いな人々の悩み・苦しみがなくなりますように 私の嫌いな人々の願いごとがかなえられますように 私の嫌いな人々にも悟りの光が現れますように 私を嫌っている人々も幸せでありますように 私を嫌っている人々の悩み・苦しみがなくなりますように 私を嫌っている人々の願いごとがかなえられますように 私を嫌っている人々にも悟りの光が現れますように 生きとし生けるものが皆幸せでありますように アルボムッレ・スマナサーラ:「心は病気-役立つ初期仏教法話2-」p191-193:サンガ新書 はじめて目にしたとき,なんと良くできた瞑想の言葉だ!と驚いた。はじめに自らが幸せになることを願いつつ,徐々にその範囲を広げ,「生きとし生けるもの」とすべての命ある存在に対して願いを唱えた後に,※以降の互いの関係が良くない者に対しても唱え,自らの「心の安定度」をモニターするようにできている。(ちなみに※以降は,あくまでも「モニター」のためであって,無理してまで唱えることを推奨している訳ではない所もまたいい!) ちなみに,この本で一番重点を置いているのは上の瞑想ではなく,その後にある「ヴィパッサナー瞑想」というものである。釈迦が悟りを開くことができた唯一の瞑想法ということらしいのだが,その瞑想を一言で表せば,「言葉を無力化させる瞑想」ということになるだろう。頭の中で唱えている言葉は,すべて「今・ここ」で自分が行っていることを「実況中継」するためだけに用いるのである。「言葉の奴隷」というエッセイでも書いたように,言葉は過去や未来を自由に行き来することができる便利な道具である一方,「今・ここ」で起きていることをありのままに体験することの妨げとなっている。言葉に振り回され,過去と未来という「幻想」に囚われてしまっている状態から開放されるためには,言葉を過去や未来に「行かせないようにすればいい」ということのようだ。(詳しくは是非本をお読みになってください) そのようなことを考えていたところふと思ったのが,対話が上手くいっていないときは大抵話題が過去や未来のことになっており,「今・ここ」について取り上げられることは殆どないなあ,ということである。 「まったく,こんな遅い時間に帰ってきて,いったいどこで何をやっていたの?心配してたのよ!」 「うるさいなぁ。どこで何をやっていようが,俺の勝手だろ。いつもいつも本当にお前は俺にケチつけることしかできないのかよ。」 「それってどういうこと?あなたが連絡しないのがわるいんでしょ?明日だって早いっていうのに・・・私はあなたのお母さんでも何でもないんですからね!いつまでもわがままが通ると思ったら大間違いですから!」 「まったく,こんな遅い・・・」という妻の一言をすべて「今・ここ」で自分に生じていることを表現するように変えてみると,こんな風になるだろうか。 「あなたが私に連絡することなしに,この時間に帰ってきたということに対して,私は怒りの気持ちが生じています。でも,無事に帰ってきて良かったという安心した気持ちもあるし,あなたが家に着くまでの間,何をしていたのか知りたいという気持ちにもなっているの。」 少し不自然ではあるが,ずいぶんと柔らかい雰囲気の表現になった。そういえば相原コージの「コージ苑」という漫画の中で,自分の気持ちを「実況中継」しあう夫婦がシリーズものであったのを思い出した。えらくこっけいなのだが,最後はいつも円満に終わるのである。過去や未来に振り回されないようになると,人は自然と優しくなれるのかもしれない。
by k-naruwo
| 2006-11-21 23:38
| エッセイ
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