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私は、自動車が大好きです。それもあってか精神科医になってからも「心の病を『車の故障』で例えると、どこの部位が故障したと例えることができるだろうか?」と想像する機会が多く、また、ほとんどの病が実際に車の故障部位と重ねることができるので、患者さんや、ご家族には今でも好んで説明に用いています。はじめに明かしてしまえば、単極性のうつ病の患者さんは車の「ガソリン切れ」、躁うつ病(双極性障害)の患者さんは「ガソリンの調整装置の故障」、統合失調症の患者さんは「ブレーキの故障」そして、神経症圏の患者さんは「自動運転装置の故障(喧嘩)」です。これから、それぞれの疾患について具体的な説明を行っていきますが、その前に、このモデルにおける「脳と心の関係」について説明をしておこうと思います。 ①脳は車の「車体」である ②心は、車の「運転手」である 心は、脳の機能の一部でありながら、脳そのものをコントロールしています。しかし、脳(車体)の故障が起きれば、結果として心(運転手)の意図するように脳(車体)をコントロールすることができなくなり、心(運転手)は困ってしまうのです。だから厳密には、心の病とは「『脳の故障』が起きた結果として、心が困っている状態」と表現できます。 と、考えると、「心の病」にありがちな様々な疑問について、簡単に答えることができます。 Ⅰ 心の病は「遺伝の問題ですか?」 Ⅱ 心の病は「親の育て方の問題ですか?」 Ⅲ 心の病は「環境の問題ですか?」 Ⅳ 一度薬を飲むと、一生飲み続けなければならないのですか? ⅠからⅢの答えは、「どれも一因と言えるが、それだけがすべてではない」となります。遺伝的な問題とは、「車の製造過程」の問題です。車の場合、製造過程で問題があれば、「リコール対象車」として部品を交換することができますが、脳の場合そうはいきません。しかし、自分の車(脳)の特徴をあらかじめ知り、道選び(環境)も含めた負担の少ない運転を行っていれば、発病(故障)の予防が可能になることは想像できると思います。 そして、Ⅳの答えとも関係してくるのですが、実際の車と、脳の場合の最も大きな違いとは、脳は「自然治癒力を持った車」ということです。応急処置的に薬を飲みつつ(私は、現在も、そして今後も脳にとって「応急処置」以上の薬ができるとは思っていません。にもかかわらず、薬があたかも故障を「修理」してくれるかのように説明し、処方する医者がとても多く、そのことが「運転のあり方には一切目を向けなくても構わない」ような印象を持たせ、結果心の病の治療率を大幅に下げていると考えています。)車体に負担のかからない運転を続けていくうちに、故障した部位は自然に良くなっていくこともとても多いのです。しかし、いくら薬を飲んでいたとしても、故障が起きてしまったような運転の仕方を続けていれば、「薬を飲んでいるのに、いつまでたっても良くならない」状態が続くことになります。 それでは、これから、少しずつ具体的な病気の説明に移って行きたいと思います。
by k-naruwo
| 2004-07-11 07:35
| 心の病をこう見てみよう―総論―
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